チョコレートの製造は、途中まではココアと同じ製造過程です。
カカオ豆は生産国で収穫から乾燥の工程までが行われます。
袋詰めにされたカカオは、工場でいくつもの工程を経てチョコレートとして完成します。
<製造工程>
収穫
ナタや長い棒の先にナイフをつけた道具で、幹を傷つけないように注意しながらカカオポッドを切り落とし、カカオポッドを割って中身を取り出します。
発酵
発酵は、チョコレートの美味しさを左右する工程です。
パルプごと取り出したカカオ豆をバナナの葉で覆ったり、木箱に入れたりして発酵させます。
すると、高温多湿の自然環境と天然の微生物の働きにより、白いパルプは消失し、カカオ豆が現れます。
このとき、カカオ豆はチョコレート色に変化し、独特の香りを放つようになります。
乾燥
発酵後のカカオ豆は水分を多く含んでいます。
約40%以上あった水分量が7~8%ほどになるまで。天日に干して乾燥させます。
機械で人工的に乾燥させる場合もあります。
出荷
乾燥が終わったカカオ豆は、主に麻袋に詰められてチョコレート生産国へ出荷されます。
ここまでがカカオ生産国での流れです。
受入れ
カカオ豆が生産国から工場に到着します。
選別
品質が良くない豆や異物を取り除き、良いカカオ豆だけを選び出します。
分離
カカオ豆を砕いてシェル(外皮)などを取り除き、カカオ豆からカカオニブを取り出します。
カカオニブとは、このシェルを取り除いて砕かれた状態のカカオ原料です。
シェルとカカオニブが混在する、粗く砕かれたカカオ豆をふるいによって分離し、さらに細かく分離する作業を連続的に行います。
焙炒(ロースト)
100℃以上の熱でカオニブをローストすることで、苦みが弱くなり、独特の香りと風味が引き出されます。
チョコレートの香気は、ローストの工程が重要です。
コーヒー豆と違い、カカオ豆はほとんど焦がさずに焼き上げます。
配合
チョコレートの風味を良くするため、数種類のカカオニブをブレンドします。
磨砕
繊維質が多くて固いカカオニブは、さまざまな装置で粉砕されます。
ココアバター(油脂)が55%も含まれているため、それをすり潰すと、ドロドロとしたペースト状のカカオマスになります。これがチョコレートの基本的な原料です。
ここでまでは、ココアの製造工程と共通です。
混合
ここからはチョコレートの製造の工程です。
カカオマスに砂糖、ココアバター、ミルクなどを混ぜ合わせます。
製造するチョコレートの配合に応じて、各原料を計量します。
微細化
複数のロールで構成されたレファイナーという装置で生地を微細化します。
チョコレートの粒子の大きさは20ミクロン以下になり、ざらつきを感じさせない、なめらかな舌触りのチョコレートになります。
精錬(コンチング)
精錬(コンチング)は、コンチェという機械で、長い時間をかけて練り続ける作業です。
チョコレートを仕上げていく上で最も重要な作業だといわれています。
練ることで温度が上がり、余分なカカオの匂いや水分が蒸発して、カカオバターなどの原料がよく混ざり合うようになります。
精錬にかける時間や温度によって、チョコレートのなめらかさや風味を左右します。
調温(テンパリング)
チョコレートを冷やし固める前に行う温度調整の作業です。
チョコレートが個体であるのはココアバターが結晶化しているためで、温度調整はココアバターを安定した結晶にします。
調温を行うことで常温では固形の状態を保ち、口に入れた時に溶けるという性質が作られます。
充填
チョコレート生地を型に流し込み、型を振動させて気泡を完全に除いて、型の隅々までチョコレート生地を行きわたらせます。
冷却
冷却コンベアにのせて、冷やし固める作業です。
冷却初期はゆっくりと冷やし、冷却の第2段階ではさらに冷たい温度で冷却します。
型抜き
デモールダーという機械で型を裏返し、チョコレートをはがします。
検査・包装
アルミ箔などで包装し、最後に段ボールケースに箱詰めします。
熟成
チョコレートの品質を安定させるため、温湿度を調整した倉庫の中で一定期間熟成させます。
出荷
各店舗へ運搬され、涼しい場所で保管されます。