チョコレートは、カカオ豆由来の主原料に副原料を練り混ぜて調温し、固めた食品です。
チョコレートの主原料はカカオマス、ココアバター、ココアパウダーで作られています。
これらはすべて、カカオ豆に由来します。
また、チョコレートを作るためには、砂糖や粉乳、レシチンなどの副原料も加えられます。
<チョコレートの主原料>
カカオマス(cacao mass)
発酵させたカカオ豆を砕いて種皮を取り除いた胚乳の部分を「カカオニブ(cacao nibs)」といいます。
「カカオマス」は、それをすり潰してペースト状になったものです。
海外では、カカオマスのことを、ココアリカー、チョコレートリカーと呼ぶこともあります。
カカオマスは砂糖が全く入っていない、カカオ分100%のチョコレートといえます。
このカカオマスにココアバターや砂糖、乳製品などを加えて練り固めたものがチョコレートです。
また、カカオ脂やココアの原料にもなります。
カカオニブをすり潰すとペースト状のカカオマスになる理由は、カカオ豆に多く含まれるココアバターにあります。
カカオニブにはココアバターが50~70%程度(標準的な含有量は約55%)含まれているため、カカオニブを粉砕するとココアバターが細胞から遊離して、ドロドロのペースト用になるのです。
ココアバター(cocoa butter)
カカオ豆に含まれている淡黄色の油脂が、「ココアバター」です。
「カカオバター」とも呼ばれます。
チョコレートの製造工程でカカオニブをすり潰してカカオマスにする時に、カカオマスがペースト状になるのは、ココアバターの働きによるものです。
カカオニブには、ココアバターが50~70%程度(標準的な含有量は約55%)含まれています。
ココアバターは常温では固まっていますが、25℃くらいから溶け始め、32~33℃くらいでほぼ完全に溶けます。
融点は33.8℃です。
チョコレートを口に入れたときに一気に溶けるのは、体温よりやや低いくらいの温度になると急速に溶け出すためです。
体温近くで溶け始める植物性油脂は、ココアバター以外に存在しません。
カカオ豆の産地である熱帯地方においては、気温がココアバターの融点を超えてしまうため、ココアバターは液状です。
固形のチョコレートは19世紀のヨーロッパで誕生しましたが、それは平均気温が30℃以下の温帯地方だからこそ可能となりました。
ココアパウダー(cocoa powder)
カカオマスからカカオバターを絞った後、細かく砕いて粉末状にしたものを「ココアパウダー」といいます。
無糖のココアパウダーは砂糖やミルクを加えて飲料にしたり、お菓子の風味づけにも利用されます。
砂糖や添加物を含まないココアパウダーは、飲むココアとして「ピュアココア」、「純ココア」などとして販売されています。
ココアパウダーにあらかじめ糖類、乳製品などを加えて飲みやすくしたものは「調整ココアパウダー」と呼ばれています。